[短編]初恋を終わらせる日。
何を困ってるんだろう。
せっかく私が笑顔で別れを告げているのに何を悩むことがあるんだろう。
ずるいよね、優也くんは。
一つ年上のくせに、小学生の頃から都合が悪くなると、そうやって可哀想な子を演じるんだから。
その憎いくらい愛らしい顔で、捨てられた子犬のような顔をして、高校生になった今も私を惑わせる。
「……さっちゃんはさ、僕のこと嫌いになった?」
さっちゃん、と私を呼んで寄ってきて、まるで私を好きみたいな態度を取って、機嫌をとろうとする。
その瞳に、私が映ったことなんて、ただの一度もないし、そんなこときっと私も君も、とっくの昔に分かっていたのにね。
それでも、私たちは一緒にいたし、今も一緒にいる。
でもさ、もうそんな必要もなくなったでしょ?
「好きだよ。私は今も昔も優也くんが好き、そんなの知ってるでしょ?」
だからさ、こんな悲しすぎる告白なんて、させないでよ。