[短編]初恋を終わらせる日。
「んー、隠れんぼかな?」
その声は間違いなく優也くん。
隠れんぼってことは、やっぱり私は探されてるんだろうな。
この廊下を通るってことは、図書室以外に目的はない。
……入ってくるよね。
お姉ちゃん、私がいること教えちゃうかな。
何も知らないから、聞かれたら普通に答えるよね。
「何だそれ」
「はは、とにかく探さなきゃだから。また明日」
友達と別れた優也くん。
近付く足音。
それと比例するように加速していく鼓動。
……気付かれたくない。
今日はもう優也くんに会いたくない。
逃げたって、先延ばしにしたって意味がないって、余計面倒なことになるってことくらい分かってる。
そんなことは分かってるけど、今までも散々先延ばしにしてきた。
今更、1日くらい逃げたって、目を背けたって許されるでしょ?
……何の問題もないでしょ?