[短編]初恋を終わらせる日。




「んー、隠れんぼかな?」




その声は間違いなく優也くん。

隠れんぼってことは、やっぱり私は探されてるんだろうな。


この廊下を通るってことは、図書室以外に目的はない。

……入ってくるよね。


お姉ちゃん、私がいること教えちゃうかな。

何も知らないから、聞かれたら普通に答えるよね。




「何だそれ」


「はは、とにかく探さなきゃだから。また明日」




友達と別れた優也くん。

近付く足音。

それと比例するように加速していく鼓動。


……気付かれたくない。

今日はもう優也くんに会いたくない。


逃げたって、先延ばしにしたって意味がないって、余計面倒なことになるってことくらい分かってる。

そんなことは分かってるけど、今までも散々先延ばしにしてきた。


今更、1日くらい逃げたって、目を背けたって許されるでしょ?

……何の問題もないでしょ?






< 24 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop