[短編]初恋を終わらせる日。




「ふふ、優也ってば分かりやすいなぁ」


「……で、さっちゃんは見たの?見なかったの?」




バツが悪そうに優也くんが話を元に戻した。

私はゴクリと固唾を呑んで、話の行方を待つ。





「……見てないけど?」


「けど、何?」


「ーーどうせ優也がいつまでも私を好きだから、美沙ちゃんを怒らせちゃったんでしょ?」





その声は、静かすぎる空間にあまりにも響いた。

まるで鈍器で後頭部を強く殴られたかのような衝撃が走る。


……なに、それ。


体が震える。

それは、怒りからか、悲しみからか。

呼吸が苦しい。


この話は、どこへ向かっていくの?

……お願い、やめてよ。


今すぐやめてーー二人とも、ここから出て行ってよ。




「……ほんと、黙ってたら同じ顔なんだから、大人しくしとけばいいのに」





でもそんな私の願いとは裏腹に、優也くんはそう言った。


それは今までに聞いたことのないほど、冷たくて、心に突き刺さった。





< 26 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop