[短編]初恋を終わらせる日。
「ふふ、優也ってば分かりやすいなぁ」
「……で、さっちゃんは見たの?見なかったの?」
バツが悪そうに優也くんが話を元に戻した。
私はゴクリと固唾を呑んで、話の行方を待つ。
「……見てないけど?」
「けど、何?」
「ーーどうせ優也がいつまでも私を好きだから、美沙ちゃんを怒らせちゃったんでしょ?」
その声は、静かすぎる空間にあまりにも響いた。
まるで鈍器で後頭部を強く殴られたかのような衝撃が走る。
……なに、それ。
体が震える。
それは、怒りからか、悲しみからか。
呼吸が苦しい。
この話は、どこへ向かっていくの?
……お願い、やめてよ。
今すぐやめてーー二人とも、ここから出て行ってよ。
「……ほんと、黙ってたら同じ顔なんだから、大人しくしとけばいいのに」
でもそんな私の願いとは裏腹に、優也くんはそう言った。
それは今までに聞いたことのないほど、冷たくて、心に突き刺さった。