[短編]初恋を終わらせる日。
どこか、他人のよう。
だってあまりにも現実味がないんだもん。
「あいつも分かってたくせに、今更ぎゃーぎゃー騒ぐなっつーの」
ーーやっぱり君は、私のことなんか1ミリも好きじゃなかったんだね。
さっちゃんとも呼ばずに、普段の君からは想像も出来ないような口調で話す。
もう君は、知らない人。
全身から力が抜けて項垂れる。
両膝の上に顔をふせ、泣くなと言い聞かせる。
まだ、まだダメ。
泣いたら、優也くんに存在がバレる。
こんな姿で見つかれば、惨めにも程がある。
……救いようのないバカだって、笑われる。
「天使みたいな顔して、とんでもない悪魔よね」
「んなこと言ったって、佐和ちゃんが振り向かないのが悪いんだからね?」
「やだ、人のせいにしないでよ」
ぎゅっと手のひらを握りしめる。
爪が食い込む痛みで、他の痛みを誤魔化そうとするけど、無理だよ。
……心が、壊れそう。