[短編]初恋を終わらせる日。
口にした言葉が、信じられないというように震えた。
信じられるわけがないじゃない。
今までお姉ちゃんには何人も彼氏いたし、そう、ついこの間までもいた。
なのに、天谷が好きだなんて、誰が信じるっていうの。
「ううん、陽一くんなんて全然好きじゃないよ」
「じゃあ、何で……っ」
目の前のこの人は、何を言ってるんだろう。
形だけの姉妹とは言え、血は繋がってるのにこんなに理解出来ないものなの?
空気の冷たさに腕を摩ると、お姉ちゃんは窓際へと足を進め始めた。
私もそんな彼女の後を追う。
「健気にずっと美沙ちゃんを好きなくせに、手に入らないからって同じ顔の私で妥協したら笑えない?」
「……え?」
だけどそれもお姉ちゃんの言葉によってピタリと止められてしまった。
顔が引きつる。
ドクン、ドクン、と心臓が嫌な音をたてる。
「私ね、恋とか愛だとかバカらしくって大嫌いなの」