[短編]初恋を終わらせる日。
「天谷だけには、手を出さないって約束して」
「それは何?優也に振られた自分を慰めてほしいから?」
「そんな理由じゃない…っ!!」
何をどう伝えれば、良いんだろう。
どうすれば私が思ってることは言葉になって、お姉ちゃんのもとへ真っ直ぐと届くんだろう。
何で姉妹なのに……こんなに、分かり合えないんだろう。
「まあ、仕方がないと思うわよ?あんな無様な振られ方したら、縋りたくもなるよね」
「……最低っ」
お姉ちゃんには、分かんないよ。
誰も本気で好きになったことのないお姉ちゃんに。
誰とも真正面からぶつかったことのないお姉ちゃんに、分かりっこないよ。
握った拳が、震える。
悔しくて、悲しくて、腹が立って仕方がない。
「お姉ちゃんなんて、大嫌い……っ!!」
これ以上この場にいたら私はもう一度、感情に流されて手を出しそうで怖かった。
だから、そうなる前にそう告げると走り去った。