[短編]初恋を終わらせる日。
やっぱりということは、気付いてたんだ。
私の存在に気付いてたうえで、わざわざあんな言葉を口にしたんだ。
「バカみたいだって、ずっと笑ってたんでしょ?」
「そうだね」
「楽しかったでしょ?」
身体中を駆け巡る感情を押し殺しながら言葉を紡ぐ。
どう考えても楽しかったよね。
私が優也くんの立場だったら、おかしくて仕方がないもん。
あくまでお姉ちゃんの代わりなのに、好きになってくれないから別れるって喚いて、何勘違いしてんだよって思うもん。
「ううん」
「……え?」
「俺も佐和ちゃんの目にはこんな風に映ってるのかなって思うと、欠片も楽しくなかった」
色をなくしたような瞳が私を射抜いた。
……怖い。
そう思うのに何故か目を逸らせない。
「もうさ、お前でも良いかなって思ってたのに、何で今更離れていこうとするわけ?」