[短編]初恋を終わらせる日。
「優也くんのちゃんとって……何」
ふざけないで。
何言ってるか、分かってるの?
「嘘の笑みを浮かべて、自分の気持ち押し殺して、適当な言葉を並べるのが、優也くんにとって愛するってこと?」
まともに騙せないくせに。
愛されてるって錯覚させることすら出来ないのに、冗談はよして。
「私は愛されてるなんて感じたこと、一度もない」
顔を上げ、その綺麗な顔を睨みつけるように言葉を放った。
一瞬驚いたように瞳を丸くした後、唇だけ綺麗な弧を描く。
「まあ、愛してなんかないしね?」
「……っ、」
「さっちゃんなんてさ、顔以外取り柄ないわけじゃん?」
……そんなの、分かってる。
お姉ちゃんに勝てる要素なんて無い。
それでも私は、君が、好きだった。
何でとか、何がとか、そんなの分かんないけど、どうしようもなく君が好きで、欲しかった。