幻想館ーシンデレラ編ー
見知らぬ場所に立っていた。



確か・・・胸が急に苦しくなり、寂れた公園のベンチにもたれるようにしゃがみこんだ。


そこまでは覚えている。



それから意識がなくなり、気がついたらこの見知らぬ場所にいた。



ここは何処かしら?



所々にぼんやり灯りがともっている。



夜・・・・・・?



でも、それにしても様子が変だわ。


それに今は、胸の痛みもない。


でも私はわかっているの・・・。



医者から告げられた<余命一週間>



癌が私の体を蝕んでいたらしい。


余り自覚症状がなかったせいで、ここまで進行している事に気づかなかった。



いえ・・・本当は気づかないふりをしていただけ。



だって私は幸せの絶頂にいたから。



せっかく掴んだ幸せを誰でも逃したくないでしょう?




だから私は、自分の幸せの為なら、頑張ってこられた。




いつの間にか、不思議な建物の前にいた


私が移動したのではなく、周りが勝手に動いているようだった。



<幻想館>


占いの館かしら?


まあ いいわ


入ってみましょう
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