幻想館ーシンデレラ編ー
「構わぬ、早くこの場に連れて来るのじゃ!!」



義母は仕方なく、シンデレラを呼んだ。



台所からエプロンをしたまま、シンデレラは大臣の前に出てきた。


そして一礼する。


大臣はシンデレラの顔に一瞬、華やかさを感じた。


「このガラスの靴を履いて見せよ」


シンデレラは言われたまま、静かに足を入れた。



靴の中にピッタリ足は収まったのでした

全ての者が息を呑んだ。



大臣はシンデレラの手をとった。


「そなたが王子の目に止まったレディだったのじゃな」


義母は驚いた。

娘達も目を丸くした


「何かの間違いです!この子は舞踏会には居なかったはずです」


すると、ボロボロの服を着ていたシンデレラが、あの夜のドレス姿に変わったのです。



大きな木の上の枝にちょこんと腰掛ける魔法使いのお婆さん

「あとはシンデレラ、あなた次第ね」


そう言って、パッと消えた。



「おおっ!! やはりそなたが、あの美しい女性だったのか」



義母も姉達も、舞踏会で王子と踊っていた女性の姿を思い出したのです。


「さあ、王子がお待ちかねですぞ」


大臣はシンデレラを外に連れ出した。


シンデレラは馬車に乗る前に、呆然と入り口で立ち尽くしている3人に向かってニッコリ笑みを見せて言った。


「さようなら、幸せになります」


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