幻想館ーシンデレラ編ー
シンデレラの物語は終わり、スクリーンが真っ白になった。



「シンデレラはいかがでしたか?」


彼はそう言って、温かい紅茶を出してくれた。


「ありがとう」


私は紅茶に口をつけた。



「童話で読んだシンデレラよりは、内容が濃いわね」



そう多分・・・シンデレラだって王子様に気にいってもらえる為に、計算していた筈よ・・・・・・。



「ところでシンデレラは幸せに一生を送ったと思いますか?」

「あら、王子様と結婚して幸せに暮らしたのでは?」



「まあ確かに一般的な物語なら、それでハッピーエンドですが、彼女のその後が気になりませんか?」


「おかしな事をおっしゃる方ね」



でも彼の言っている事は気になる。


シンデレラの後日談


そうね、どんなものか楽しみだわ。



また部屋がなお薄暗くなり、古ぼけた映写機から映像が目に飛び込む。


彼は私の傍らに椅子を運び、静かに腰を降ろした。



風もないのに、時折揺れる銀色の髪。



全てにおいてしなやかな動き。



物語の動向も気になるが彼の存在も気になった。

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