幻想館ーシンデレラ編ー
何でしょう?

やけに騒がしい・・・。

いつの間にか眠っていたのかしら?


瞼が重く感じられた

それでもゆっくりと目を開ける。


ぼんやり人影が映る

その輪郭を目で追っていく。



騒がしいのは、このせい?


「先生、患者の意識が戻りました!」


女性の声。



やがてぼんやりしていた輪郭が、はっきりとしてきた。



ここは・・・病院!



そうだわ!


私は外出先で意識を失ったんだわ・・・。



看護師達の会話で、私は「余命一週間」と言われた事に、改めて気づかされた。



そうだった・・・。


それから病院を抜け出し街をさまよっていた。


それでも最後に行き着く場所は、自分が一番好きな所。



私は独り。


もしここで死んだとしても、只の老婆が心臓発作で亡くなったのでしょうと・・・

世間とはそんなもの

明日には、もうそんな事は忘れ去られてしまう。



・・・それならそれでいいわ。





そして、今はベッドの上。



どこかのお節介が救急車でも呼んだのでしょう。


でももう、私は死ぬのだから。



体と心が離れ離れになっているかのようだった。
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