幻想館ーシンデレラ編ー
それは、母と離婚する以前から付き合っていた女性が再婚相手となり、私と同時進行で跡取りが成長していたからだった。


私は母と同様、この家を出た。



確かに何不自由なく暮らしてきた事に不満はなかったが、血の繋がりのない母と暮らす気にはなれなかった。



幼子の私を母から引き離した身勝手な父に対してのささやかな反抗だった



後に執事から言われた事があった。


「お嬢様と奥様とは全く逆でしたね」


シンデレラになる事を夢見た母。


でも魔法は解けてしまった。


母は独りで、どこかで暮らしている。


でもそれはシンデレラとは無縁の世界になってしまったでしょう。



病院に到着した私は集中治療室から運び出された母の変わり果てた姿を見た。



あの美しい面影は、どこにいってしまったのか・・・?



すっかり年老いた母

私は愕然とする。



再会した母。



眠ったままの状態が続く



「お母さん・・・」


しばらく、私は母の顔を見つめていた。
< 34 / 36 >

この作品をシェア

pagetop