幻想館ーシンデレラ編ー

「鈴蘭、花言葉は幸福が訪れる・・・・・ですか」

たった一輪の花であったとしても、人によっては大切な何かになったりするものです。


彼女は母親が亡くなってから、ずっと独りでした。


血縁の家族からさえも愛されない悲しみ


シンデレラになっても結局は孤独の中で生きてきたのです。



「彼女はいつだって愛されたいと願っていたんでしょうね」


「やあ、キミですか」


丁度、紅茶を入れ替えた所にやって来た。


「只、愛は受け身ばかりじゃ駄目なんですよ。自らも人に与えていかなければね」



ダージリンの香りが部屋に広がる。


「どこかで彼女はそれを屈折させてしまった。
悲しい事です」



「そう言えば、またキミにはおいしい所を持っていかれたようですね」


彼はクスッと笑ってとぼけた。

「さあ、何の事かな?」



「まあ、いいです。
最後に彼女は独りぼっちではない事に安堵して永遠の眠りについたのですから」



さようなら

シンデレラ・・・



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