幻想館ーシンデレラ編ー
おかしな質問だったのかしら?


でも、こんなに素敵な方が、ひっそりとした場所にいるなんてとっても不思議だわ。



「良ければ物語でも観ていきませんか?」

「物語・・・?」


「ええ、懐かしい童話です」


そうよね・・・これも何かの縁、観ていきましょう。


「拝見させて頂くわ」

そう答えると薄暗い部屋が一層暗くなり古びた映写機が音をたてながら、フィルムが回り始めた。




<シンデレラ>


スクリーンに映し出された文字・・・・・・



誰もが知っている物語だった。



昔、ある村にシンデレラと言う娘がいました。



シンデレラは聡明な父と優しい母と幸せに暮らしていました


穏やかな毎日は、シンデレラにとってこの上ない安らぎのひとときでした。



しかし、その幸せが崩れていく時がきてしまったのです。


それは最もシンデレラを理解していた母が、重い病にかかり亡くなってしまいました。



悲しみに暮れるシンデレラ。



たくさん、たくさん涙を流しました。



やがて涙も枯れ果てて一滴の涙も出なくなりました。



そして、そのシンデレラに追い討ちをかけるかのように、父親が新しい妻とその娘達を家族として迎え入れたのです。


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