yellow ribbon
『おい!ドジ!ドジがそんなに走ると転ぶぞ!!』
懐かしい記憶が蘇る。
振り返るとそこには昔とはだいぶ変わってしまった夏樹くんがいた。
「好き勝手喋って逃げ出すな!馬鹿女!お前みたいなドジがそんなに走ると転ぶぞ!!」
凄く背が高くなって声も低くなって顔つきだって大人になっちゃって。
昔とは全然違うのに、中身は変わってない。
そのことに安心してしまった私は、さっきは流さなかった涙が勝手に流れた。
「聞いてんのか!だいたいお前…は…、え?な、泣いてるのか?あ、嫌、馬鹿は言い過ぎたかもしれないけど…な、泣かなくてもいいだろ!?」
泣いてることに気づいたのか、荒げていた声を抑えて傘の中に入ってきた。
「悪かったよ…言い過ぎた。だから泣くな。な?」
その優しい声がまたダブって。
『ブース!ブース!ぶー…、……な、泣かなくてもいいだろ!泣きやめよ…な?』
余計に涙が止まらない。