yellow ribbon
心配そうな顔をする夏樹くん。
いつもそうだった。
自分が意地悪したくせに私が怒ったり泣いたりすると自分の方が泣きそうな顔で謝ってくる。
だから嫌いになれなくて…。
「私のこと…忘れちゃったんだと思ってた…」
「…今思い出したんだよ」
嘘が下手くそなところも変わってない。
「じゃ…じゃあこれから普通に話してくれる?」
「は!?」
「だ、ダメ?」
「お前なぁ!」
「わっ」
急に大きな声を出すからついビクついてしまった。
それに気づいたのか夏樹くんは何か言いたげな顔で黙ってしまった。
「…なんでもない」
絶対に何でもなくないでしょ。
そう思ったけれどあまりに深刻そうな顔をしていたから聞くのが怖くなってそっか…と返事を返した。