小栗くんの事情
第一章

好きな物はたくさん






みーんみーんと蝉が鳴いてる。



突き刺さるような眩しい日差しで喉も乾く。



額から汗が垂れて、Tシャツが少しべたついたり。



この季節は一年の中で一番大嫌いだ。



「授業中にうちわは禁止だぞー」



暑さに耐えきれない生徒達は下敷や自前のうちわを片手でぱたぱた泳がせていた。



注意している数学の先生もTシャツの首元で風を送る。



なぜ、八月の夏休み真っ最中の私達が授業を受けているか…



【9:00~12:00 赤点補修】



黒板の右端に書かれた白い文字。



そうなんです。



ここにいる生徒達、そして私は…





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