小栗くんの事情





「ここにXを代入してー」



夏休み前のテストで、見事28点をとった私は赤点を免れたわけもなく補習生です。



「はい、続きを結城答えて」



「…っ?」



窓際の席についてた私は外の景色を眺めていたが、ふいに先生に指名されてびくっと身体が固まった。




もちろん授業内容なんて暑さで頭に入ってこないわけで。



「えー…っと…分かんないです」



「あー?テストにも出た問題だぞ?復習もしてないのか」



「すいません」



先生は呆れたのか小さい溜息をこぼして周りを見渡しだした。



うん、まぁ、補習生にまともな生徒なんていないので、皆雑談やらうたた寝やらで答えられそうな人もいないのか、先生はむしゃくしゃしてる様子。



「お、そういえばお前初めて来たよなー。答えてみ」



私の席とは真逆の廊下側の席に視線を向け、誰かを指名した。





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