君と想い出をもう一度
すると、また金の光が現れ────。


すっ、とミュウの指の感触が消えた。


「……え、」


振り返ると、











ミュウが透けていた。




そしてガラスが割れるような音を立てて、ミュウから宝石が散らばった。



その宝石が溶け込むように……空間に消えていく。



「ミュウっ!!」


透けた体で、くずおれるように倒れるミュウ。


意識が無かった。


「ラルム様、落ち着いてください」

ボルドーも焦りで涙声だ。


「ミュウ!!ミュウっ!!何で、何で透けてんだよ!!」


いくら呼ぼうとも目を覚まさない。


ラルムが立ち上がると、──カツンと何かが転がる音がした。





薄く白濁した石で、色々な色の靄が中で渦巻いている。


「…もしかして、」

ラルムの声も声にならない。




──────そう。





【証】を得る代わりに、【一番大切なもの】、ミュウを失ったのだ。


ミュウがあの消えていった宝石で出来ていたように、体にまるで実体がない。

かろうじて姿が残っているのは、ミュウの願いとラルムの願いがぶつかった結果だろう。



「ミュウっ!!なぁ、ミュウっ!!」


悲痛な叫びが洞窟に響いた。
< 11 / 35 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop