君と想い出をもう一度
「ラルム様!!」


叫び続けるラルムの肩にボルドーが手をかけた。


「数あるどの学説の中でも最も危険な呪いと言われている…この石は虚無──ネアンの塊です」


「虚無…だと…?」

望みは叶うが、その望みによっては虚無が発動してしまう。


それにかかれば全てが消えてしまう。


ラルムの動きが止まった。

「じゃあ…ミュ、ウは…」

「ミュウは生きています。ただ…魂と虚無の呪いだけですが」


俺の馬鹿な見栄で。

ミュウを死の淵に追いやった。


「ごめ、ミュウ…ごめんなっ…」

「…私が国王陛下に報告に行って参ります。ミュウを部屋に運んで頂けますか」

ボルドーの声が弱々しく震える。


「…ああ」


「国中に蔓延していた虚無の気配の正体はこれだったのですよ、ラルム様。ミュウでも私でも気がつかない位に」


ふと言葉に違和感を覚えた。

しかしすぐにラルムは頭を振り、ミュウを抱きかかえ、ボルドーについて洞窟を出た。
< 12 / 35 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop