君と想い出をもう一度
「ラルム様」
苦しい声にハッと顔を上げた。
慌てて頬を拭うラルムを見てボルドーが笑う。
…いや、笑顔に似た表情を張りつけている。
「泣いても良いんですよ、ラルム様」
一番泣きたいのは先生でしょう。
俺が貴方の娘を奪った。
声にならない声に、ボルドーの笑みがくしゃりと崩れた。
「ラルム様。ミュウを元に戻したいとはお思いですか」
「勿論です」
「…方法は、一つしか無いのです」
ボルドーは苦しそうな顔のままベッド脇の机に何か古い紙を広げた。
「宝の呪い…?」
ラルムが読み上げると、ボルドーも静かに頷く。
「ジーヴル家に伝わる呪いです。虚無にかかると、ジーヴルの人間は五つの宝石として散らばるんです…ミュウは例外ですが」
ミュウがあの願いを言っていなかったら死んでいたのか。
考えただけでも悪寒が走る。
「五つの宝石というのは?」
「俗に言えばルビー、アウイン、ダイヤモンド、ミルキークオーツ、そしてパールです」
「分かりやすいですね、けど探すのが難しい」
ラルムが眉間に皺を寄せる。
時間がかかってしまうことに苛立ちがあるようだ。
「ああ…それから、それぞれ呼び名が付いているのです」
ボルドーが紙の端を指差した。
ルビーがルネサンス、アウインがペルペチュエル、ダイヤがフィルトレ、ミルキークオーツがエールで、パールがコスモスだ。
「これ、って…意味が、」
「そうです。再生、不滅、浄化、翼、宇宙」
一つ一つ読み上げていくボルドーの声は落ち着きを取り戻していた。
「夜明けすぐ、出発します」
硬くなったラルムの声には決意が表明されている。
ボルドーがラルムに微笑む。
「ミュウが目覚めるまで待ちましょう。虚無は呪いの対象者がいないと解けないのです。それに……まだ、ミュウの意識がどうなるか…記憶やその他の思考機能がどうなるか、分からないですから」
無言で頷き、青年はミュウの手を握り続けた。
苦しい声にハッと顔を上げた。
慌てて頬を拭うラルムを見てボルドーが笑う。
…いや、笑顔に似た表情を張りつけている。
「泣いても良いんですよ、ラルム様」
一番泣きたいのは先生でしょう。
俺が貴方の娘を奪った。
声にならない声に、ボルドーの笑みがくしゃりと崩れた。
「ラルム様。ミュウを元に戻したいとはお思いですか」
「勿論です」
「…方法は、一つしか無いのです」
ボルドーは苦しそうな顔のままベッド脇の机に何か古い紙を広げた。
「宝の呪い…?」
ラルムが読み上げると、ボルドーも静かに頷く。
「ジーヴル家に伝わる呪いです。虚無にかかると、ジーヴルの人間は五つの宝石として散らばるんです…ミュウは例外ですが」
ミュウがあの願いを言っていなかったら死んでいたのか。
考えただけでも悪寒が走る。
「五つの宝石というのは?」
「俗に言えばルビー、アウイン、ダイヤモンド、ミルキークオーツ、そしてパールです」
「分かりやすいですね、けど探すのが難しい」
ラルムが眉間に皺を寄せる。
時間がかかってしまうことに苛立ちがあるようだ。
「ああ…それから、それぞれ呼び名が付いているのです」
ボルドーが紙の端を指差した。
ルビーがルネサンス、アウインがペルペチュエル、ダイヤがフィルトレ、ミルキークオーツがエールで、パールがコスモスだ。
「これ、って…意味が、」
「そうです。再生、不滅、浄化、翼、宇宙」
一つ一つ読み上げていくボルドーの声は落ち着きを取り戻していた。
「夜明けすぐ、出発します」
硬くなったラルムの声には決意が表明されている。
ボルドーがラルムに微笑む。
「ミュウが目覚めるまで待ちましょう。虚無は呪いの対象者がいないと解けないのです。それに……まだ、ミュウの意識がどうなるか…記憶やその他の思考機能がどうなるか、分からないですから」
無言で頷き、青年はミュウの手を握り続けた。