腹黒スマイル王子
卒業式
「おーい、今から2年生が入ってくるからなぁ~。」

私達の中学校は卒業式の前に、2年生が教室にカーネーションのコサージュを胸に付けに来てくれる。

「あ~もし誰も付けてくれなかったらどうしよう。
なんでこんな心臓に悪いことやらせるんだろう。」

「陽向なら大丈夫だよ。女バスの後輩いるんでしょ?

私なんて家庭科部だよ。後輩あのクラスにいないのよね。」

「確かに女バスの後輩はいるけど、つけてくれるかなんてわかんないよ。」

教室中がこの話しでざわついている。



ガラガラガラ♪

「失礼しま~す。」

教室の空気が一瞬で凍る。

2年生が黒板の前に並ぶと一斉に


「ご卒業おめでとうございます。」


言い終わるか終わらないかのうちに1人の男子が真っ直ぐに歩いてくる。

真っ直ぐに、真っ直ぐに……。

ん?


私の前で止まると

「おめでとうございます。」

っていいながら私にコサージュを付けてくる。

「あ、ありがとう。山神くんだよね?」

戸惑いなが聞くと彼の顔がパッと明るくなって

「はい。 山神 理人です。」

ってニコニコしながら答えてくれた。

うっ、可愛い。

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