腹黒スマイル王子
午前最後の種目は、我が校の聖ヶ丘節だ。

俺の周りにはいつの間にか女子が増えてきた。

「理人、お前も大変だな。これじゃまるで見せ物だぜ。」

敦の言う通りだ。

「もう慣れっこだよ。」

そう言って上着をガバッと脱ぐとひときわ大きな黄色声が飛ぶ。

「早く行こうぜ。」


俺はそんな彼女らのことなど無視してグラウンドに走った。


中ほどまでくるとさすがに黄色声も聞こえなくなってきた。


音が鳴り煩わしさを忘れ躍りに夢中になってきた。

あっ、これってバスケやってる時とにてるかも。

なんて考えてると俺の視線の先に陽向がいる。

こんなに人が大勢いるのに俺は陽向を見つけた。そして自惚れでもなんでもなく彼女も間違いなく俺を見てる。

一瞬目があった。この状況で目があうことが嬉しくて思わず笑ってしまった。すると陽向も笑い返してくれた。

俺はどんどん陽向に惹かれていく。
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