腹黒スマイル王子
「…………。

陽向って好きな人いるの?」

突然美人ってば何を!

でも美人には嘘はつきなくなかった。だから私は美人には本当の気持ちを伝えよう。


「うん。いるよ。

片想いだけどね。」


「だ、誰なの?


もしかして、海斗?」


海斗……?


「えー、違う違う!」


「そうなの?」


「まだ誰にも言ってないんだけど美人にだけは話すね。

実は、理人のことが好きなんだ。」


「そ、そうなの!」

「う、うん。

でも理人はモテるし後輩だから諦めてるけどね。でもいいんだ。片想いのままで。」

「陽向、ごめん。」


「何が?


まさか美人も!?」


「違う違う!」

ほっ。美人がライバルじゃ勝ち目ないからね。


「私、陽向は海斗のことが好きなんだと思ってたんだ。中学も一緒でものすごく仲良くて。そんな陽向に嫉妬してもし陽向に他に好きな人がいたら海斗が私のこと見てくれるんじゃないかって。
私、自分のことしか考えてなかった。陽向がそんな辛い想いをしてるのに。」

美人は、声を殺して泣いていた。


「私、最低だよ。陽向の友達でいる資格ないよ。」


美人…… そんな


「もしかして、それって美人は海斗が好きってこと?」


「……うん。」


美人が小さくうなずいた。


「美人は、全然悪くないよ。

好きな人が他の子と仲良くしてるの見たら嫌に決まってるじゃない。

あっ、でもそれって私のことなんだよね。ごめんね、私の方こそ美人の気持ちに気付いてあげられなくて嫌な思いさせちゃって。」


「そんなこと、陽向は悪くないよ悪いのは私。」


「ううん。悪いのは私だよ。」



プーッ


二人で顔を見合いながら思わず吹き出してしまった。


「どっちも悪くない。だから仲直りしよ。」


「うん。ありがとう。陽向。」


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