腹黒スマイル王子
お祭りの日お母さんにが理人と行くことを知ると浴衣を着せてくれた。

お母さんたらすっかり理人のこと気に入っちゃって。



待ち合わせ場所に行くともう理人は先に来ていた。
あいかわらず理人の周りの女の子達は理人を見ながらヒソヒソ話している。中には話しかける強者もいた。そんな人達に嫌な顔せず答える顔はまさにスマイル王子だった。私はそんな理人を見るのが嫌で急いで駆け寄った。


「お待たせ。」


私に気付いた理人は何も言わず歩き出した。

私の浴衣変なのかな?

急に不安になる。

理人待って、慣れない下駄のせいで思うように歩けなくて理人との距離が離れていく。


「おー、陽向じゃないか。」

声の主は、海斗だった。


「海斗!どうしたの?」


私は焦りながら理人の方を見た。

理人は少し離れた所にいたので海斗は気付いていない。

「なにって、祭りに来たに決まってるだろ。お前一人?
なら一緒に回ろうぜ。」


「海斗こそ、誰かと待ち合わせしてるんじゃないの?」


「あー、美人とな。合宿の帰り道祭りの話しになって一緒に行くことになったんだ。陽向も一緒なら美人も喜ぶんじゃないか。」


まったく海斗は分かってない。美人は海斗と二人でお祭りに行きたいんじゃない。とその言葉が喉まででかかったけど私は余計なマネはしないとぐっとこらえた。


「こんばんは、海斗先輩。」


理人が海斗に話しかけてきた。

「おー、理人か。何?お前も誰かと来てるのか?」


「はい、陽向と。」


陽向って理人!呼び捨てしてるよ。海斗の前で。

「陽向?」


「じゃあ、俺らは失礼します。」

理人は私の手を掴んで海斗から離れていった。
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