腹黒スマイル王子
「理人、ちょっとどうしたの?」

理人は人気のない所まで私を連れて行くと手を離して私のほうに向き直った。

「り と?」

なんかいつもと様子が違う。私何か理人が嫌がることしたのかな?

「ごめんね、理人。

ごめん、私何かしたんだよね?

私って鈍感だから気がつかないうちに理人のこと傷つけちゃったのかな?」


ズキン

何しちゃったんだろう。もし理人に嫌われたら……


あれっ、涙が止まんないよ。

泣き顔を見られたくなくて私は俯いていた。

ギュッ


えっ?

理人が私のことを抱き締めてる。

「ごめん。陽向。

謝るのは俺のほうだ。

陽向の浴衣姿があんまり可愛いかったから恥ずかしくてお前のこと見れなかった。

そんな時海斗先輩に会って陽向を連れて行かれそうになるし、俺って結構嫉妬深い男なんだ。」


嫉妬深い?

なんで理人が、海斗に?

えっ?まさか


「それって。」


「陽向が俺のこと後輩としか見てないことは分かってたでも俺は陽向のことずっと好きだった。だから誰にも陽向を近づけたくない。」


うそっ!

「本当に?」


「あー、俺は陽向が好きだ。」


信じられない。私の片想いだと諦めてたのに。

「嬉しい。私も理人のこと……好き。」


「えっ?」


理人も私のこと想ってくれてたんだ。私は理人の背中に腕を回した。

「ひ な た。」


そう言って理人は私を強く抱き締めてくれた。
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