腹黒スマイル王子
そして、私から身体を離した理人はそっと口づけをしてくれた。

理人の優しさの伝わってくる心地のいいキスだった。

お祭りの帰り道理人はずっと私と手を繋いでくれた。

嘘みたい。理人も私のこと好きでいてくれたなんて。

あっという間に家についちゃった。まだ理人とさよならしたくないなぁー。今まで何度も理人に送ってもらったことはあったけどこれまでとは違う。

だって……。


「陽向、もう少し一緒にいないか?」

「うん。私も同じこと考えてた。」

私達は、近くの公園にいった。


「今日の浴衣凄く似合ってるよ。ホントマジで可愛い。」

真っ赤になりながら理人は私を誉めてくれた。

「よかった。理人ったら会うなりさっさと歩いて行っちゃうから似合わないのかと不安になったんだ。」


「あんまり可愛い過ぎるから見てられなくなったんだ。」

「そ、そんな。私のほうが恥ずかしくなっちゃうよ。」

「陽向、もう一回言って?」


「えっ?何を?」

「俺のことどう思ってるか。」

私は心臓をバクバク言わせながら

「……好きです。」


恥ずかしくて顔を上げることが出来ないで俯いていると理人の手が私の顎をそっと掴んで顔をあげさせる。


理人の私にだけ見せる優しい笑顔が私の顔に近づいてくるとどちらからともなく目を伏せて唇を重ねた。




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