上司に秘密を握られちゃいました。

断るわけがない。
ずっと楽しみにしていたのだから。


「あはは。西里さん、本当にうちの制服好きなんだね」

「あっ……」


しまった。
興奮のあまり、大きな声が出てしまった。


この調子では、いつかコスプレ好きだとバレそうだ。


高鳴る気持ちを抑え、こっそり深呼吸する。
憧れの真山さんとこうして食事できて、制服まで見られるなんて、最高の日だ。


それからすぐにやってきたビーフシチューは、真山さんの言う通り、肉がトロトロで口の中で溶けていく。
大満足だ。


「真山さん、常連さんなんですか?」

「うん。実は実家にひとりで住んでいて、食事はここにお世話になることが多いかな」

「ひとりで?」

「父はもうずいぶん前に亡くなっていて、兄弟もいなくてね。寂しいものだよ」
< 109 / 439 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop