上司に秘密を握られちゃいました。
断るわけがない。
ずっと楽しみにしていたのだから。
「あはは。西里さん、本当にうちの制服好きなんだね」
「あっ……」
しまった。
興奮のあまり、大きな声が出てしまった。
この調子では、いつかコスプレ好きだとバレそうだ。
高鳴る気持ちを抑え、こっそり深呼吸する。
憧れの真山さんとこうして食事できて、制服まで見られるなんて、最高の日だ。
それからすぐにやってきたビーフシチューは、真山さんの言う通り、肉がトロトロで口の中で溶けていく。
大満足だ。
「真山さん、常連さんなんですか?」
「うん。実は実家にひとりで住んでいて、食事はここにお世話になることが多いかな」
「ひとりで?」
「父はもうずいぶん前に亡くなっていて、兄弟もいなくてね。寂しいものだよ」