上司に秘密を握られちゃいました。
たしかに、この辺りでは、ここにしかないブランドショップが多数あると聞く。
「同じことをしても追いつけない。東郷は東郷なりの戦略を練らないとね」
「はい」
そのひとつが、デザート重だったのかもしれない。
デザート重に参加した店はこのデパートにもある。
だけど、各店舗の代表作を少しずつ集めた商品は、東郷にしかない。
「西里さんって、Sサイズだよね」
「えっ? そう、です」
突然サイズを聞かれて驚いたけど、その理由はすぐにわかった。
「ここにいて。ひとつ取ってくる」
真山さんはあっという間に人の波にのまれて行った。
数分後、戻ってきた彼の手には紙袋が握られている。
「負傷したよ」と笑う彼の手の甲にはひっかき傷が。
「大丈夫ですか!」