上司に秘密を握られちゃいました。
第3章
このデパートのアクセサリーの福袋は、催事での扱いはなかった。
ふたりで向かったアクセサリーのフロアは、催事場ほどの混雑ではなかったものの、またしてもレジには行列ができていた。
シンプルな白い紙袋に入っているアクセサリーの福袋は、ワゴンの半分くらいが売れている。
「こっち、買ってみよう」
真山さんが手に取ったのは、一万円の福袋。
ワゴンには、五千円のものと一万円のもの。
だけど他にも、年号に合わせた、二千十五万なんていう、高額の商品も用意されている。
これぞ、デパートだ。
私たちは二千十五万の商品を遠目に見つつ、一万円のものを購入すると、地下の食料品を覗きに行ってから、デパートを出た。
「うーん。空気がうまい」
今日は晴れ渡っているものの、空気が冷たい。
空を見上げた真山さんは大きく深呼吸した。