上司に秘密を握られちゃいました。

本当に、空気がおいしい。
あの人ごみの中では、まともに酸素を取り込めた気がしない。


「冷えますね」

「そうだね。雪が降りそうなくらいの気温だ」


雪が降ると、途端に出足が鈍る。
小売業は、天気も味方につけないと大変だ。


「付き合わせてごめんね。
中身の詮索をするんだけど、一緒に見てもらえないかな。
やっぱり、女性物は女性の意見がないとね」

「はい」


私も中身が気になる。
東郷となにが違うのか、興味深々だ。


「それじゃ、家に来てもらってもいい?  制服もあるから」


制服!
いよいよ、憧れの制服にご対面できる。
抑えきれないほどの喜びが、湧き上がってきた。
< 118 / 439 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop