上司に秘密を握られちゃいました。
黙々と商品をラッピングしていると、さすがに連日のハードな仕事のせいか、フッと気が緩んだ。


「痛っ」


包装紙は、時には鋭利な刃物になる。

指の先を切ってしまった私は、血が商品につかない様に慌てて口でくわえた。


まずいな。こんなに待っている人がいるのに……。

目の前に積み上げられたおもちゃを見つめ、途方に暮れる。
そっとハンカチでぬぐってみたものの、血はなかなか止まってくれない。

だけど、こんな手でラッピングできない。


美晴の前にも、たくさんのおもちゃが積み上げられていて、とても頼めそうになかった。


「変わるから、医務室で絆創膏を貼っておいで」


困り果てていたその時、私の横から男性社員がスッと手を出した。
< 12 / 439 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop