上司に秘密を握られちゃいました。
「寒かったでしょ。温まって」
そして、部屋の真ん中に置かれている、こたつのスイッチも入れてくれた。
「こたつ、懐かしいです」
実家にはあるけれど、今のマンションにはない。
「そうだよね。ひとり暮らしだと、部屋も狭くなってしまうから、持ってる人も少ないのかな」
たしかにそうかもしれない。
こたつは魅力的だけど、部屋が狭いと、足の踏み場がなくなってしまう。
「私、こたつがあると、寝ちゃうんです」
「あれ、西里さんも? 僕もよくここで朝まで」
クスクス笑う真山さんは、「中身見てみて」と福袋を私に渡して、別の部屋にいってしまった。
福袋に手をかけながら、キョロキョロ見回す。
窓近くの畳は、少し日焼けしているもののまだ新しいし、柱は太くて立派だ。
こんなに大きな家だと思っていなかったから、余計に緊張してしまう。