上司に秘密を握られちゃいました。
「すみません。
私、仕入れの大変さも知らないのに……」
「なに言ってるの。すごくためになったよ。
営業本部、おじさんばかりで女性目線が足りなくてね。
売り場に聞いても『売れ残りでいいんじゃない?』だから」
私の意見が、少しでも役に立てばいいのだけど。
「それに、一万にするというアイデアは採用だよ。
実は僕も、並んでてうんざりした」
クスッと笑った真山さんは立ち上がった。
「ごめん。コーヒー冷めたね」
私も真山さんもコーヒーの半分も飲んでいない。
話が始まったら、ふたりとも没頭してしまった。
「これだからフラれる」
苦笑する真山さんの仕事に対する情熱は、気持ちいいくらい熱い。
「淹れなおしてくる」
「すみません」