上司に秘密を握られちゃいました。

「すみません。
私、仕入れの大変さも知らないのに……」

「なに言ってるの。すごくためになったよ。
営業本部、おじさんばかりで女性目線が足りなくてね。
売り場に聞いても『売れ残りでいいんじゃない?』だから」


私の意見が、少しでも役に立てばいいのだけど。


「それに、一万にするというアイデアは採用だよ。
実は僕も、並んでてうんざりした」


クスッと笑った真山さんは立ち上がった。


「ごめん。コーヒー冷めたね」


私も真山さんもコーヒーの半分も飲んでいない。
話が始まったら、ふたりとも没頭してしまった。


「これだからフラれる」


苦笑する真山さんの仕事に対する情熱は、気持ちいいくらい熱い。


「淹れなおしてくる」

「すみません」
< 125 / 439 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop