上司に秘密を握られちゃいました。
ぴったりだけど、動きは妨げられない。
型紙が工夫されているのだろう。
こういうところが、素人の私の作品とは違う。
そしてなんといっても白い丸襟。
これが清楚なイメージを印象づけている。
赤いエナメルベルトもきちんと残されていて、最後にそれを締めると、気持ちが引き締まる気がした。
コーヒーの香りが強くなった。
おそらく持ってきてくれたのだろう。
「着替えたかな?」
「……はい」
隣の部屋から真山さんの声がする。
恥ずかしかったけど、ゆっくりとふすまを開けた。
「おぉ!」
真山さんが声を上げたけれど、私は顔を上げられない。
「古い形だと思ってたけど、意外と新鮮。それに、西里さんに似合ってる」
「ありがとうございます」