上司に秘密を握られちゃいました。

今日一日で、憧れの制服を着ることができて、憧れの人から告白されて……心臓が破れてしまわないか心配になる。

確実に、今までの人生の中で、最高の一日だった。


「初売りの偵察は、実は口実だった」

「口実?」

「うん。偵察しないととは思ってたし、福袋を手に入れるつもりだったのは本当だけど、藍華さんと正月を一緒に過ごしたかった。
制服を見においでというのも、実は口実」


正直な人。
だけど、私と一緒に過ごしたかったと言われて、うれしくないわけがない。


「今年は幸せな一年のスタートを切れた」


真山さんは、少し恥ずかしそうに微笑んだ。


「一番欲しいものが、手に入るなんて、正月から最高だ」


彼は、ほのかに私達を照らし続ける三日月を見上げた。

空気が澄んでいるせいか、くっきりと浮かび上がっている月は、私達の幸せを祝福してくれているかのようだ。

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