上司に秘密を握られちゃいました。
「あの真山さんがついに落ち着いたか……。
知らないぞ。嫉妬だらけだよ、きっと」
「ちょっと脅さないでよ」
そうは言いながらも、クスクス笑う美晴は「よかったね」と喜んでくれている。
「それじゃ、張り切っていきましょうか」
美晴も元気が出たようだ。
「オー!」
私たちは、それぞれの持ち場に向かった。
催事場に向かうと社員が配置につきつつあった。
開店まであと十分。
福袋のワゴンの用意はできている。
「西里さん、ちょっと」
「はい」
バックヤードで在庫チェックをしていると、真山さんがやって来た。
上司の顔をした真山さんは、いつみても凛々しくて、ドキドキする。
スーツは似合っているし、忙しいはずなのに余裕を感じる。
「悪いんだけど、今日も迷子お願いできないかな?
会議室は確保してあるし、おもちゃも」
「はい。わかりました」