上司に秘密を握られちゃいました。
今までとまったく変わらない様子の真山さんに、ちょっと寂しさを覚える。
だけど、仕事しなくちゃ。
彼は、私に会議室の鍵を預けると、すぐにどこかに行ってしまった。
まだ開店前の静かなバックヤードを通り会議室に向かうと、元旦より大量のおもちゃと絵本が用意されていた。
今日の来客数もかなりの数が予想されている。
また迷子が出るだろう。
おもちゃの整理をしながら、迷子の連絡を待っていると、すぐに内線が鳴った。
その日の迷子は、午前中の三時間だけで八人もいた。
お母さんの方が探している場合を除くから、実際はもっとすごい数のはず。
十三時を過ぎたころ、真山さんがやってきた。
「西里さん、十番どうぞ」
"十番"というのは、休憩のこと。
「でも……」
子供達を放っておくわけにはいかない。
私の代わりがいない。