上司に秘密を握られちゃいました。
「でも、真山さんのアシスタントなんてね」
他の人には聞こえないように耳元でささやいた美晴は、私たちの間になにがあったのか知らない。
「……うん」
「あれ? もっと喜びなさいよ」
小さくうなずいた私は、緊張が解けないまま、一旦人事に戻った。
そして、人事の担当者に案内されて、いよいよ営業本部に向かう。
「いきなり本部ってなかなかないんだ。それだけ期待されてるってことだよ」
「はい。ありがとうございます」
高く評価してもらえたことは、素直にうれしい。
だけど、ただの制服フェチに、大役が務まるだろうか。
「指導担当が真山君なら心配ない。
彼の企画はことごとくよい成績を収めているし、勉強になるはずだ」
「はい」
こうして営業本部に来るのは初めてのこと。
私たちとは無縁の場所だったから。