上司に秘密を握られちゃいました。
波乱のバレンタイン
次の日からも仕事は忙しさを増すばかりだった。
制服ファッションショーの企画も現実味を帯びてきて、倉庫から制服を探し出す作業も始めた。
「んー、埃っぽいな」
真山さんが苦い顔をしている。
「本当ですね。ひとつ、見つけました」
たくさんの段ボールの中から見つけたのは、数年前の夏服。
「おぉ、懐かしい。俺が大阪に行く前のだ」
淡いピンクのジャケットに、タイトスカート。
タイトスカートには縦に一本赤いラインが入っていて、東郷らしさを醸し出している。
ボーラーという形の帽子にも赤いラインが一本。
ちょっとした”東郷らしさ”が憎い。
憧れの制服にこうして出会えて、テンションは最高潮だった。
その後も探し続けて、二十年ほど前までのものは、いくつか見つけることができた。