上司に秘密を握られちゃいました。
「藍華、身の程を知った方がいいよ」


敬子が、私の意気込みを聞いてあきれ返った。


「身の程? もちろん勉強は頑張るよ」


詳しいことはわからない。でも、杏林女子はレベルが高いということだけは知っていた。


「杏林は基本、中学受験して入るところなの。高校で募集するのは、引っ越しなどで減った人数だけ。去年だと三人くらいだったはず」

「三人!?」

「うん。それにあそこ、入ってからの寄付が半端ないみたいだよ。普通のサラリーマン家庭じゃ、まず払えないって」

「そう、なの……」


聞けば、あの制服も有名なデザイナーが手掛けたもので、周辺の公立高校の制服の約二倍の値段らしい。


さらに「家庭調査も入るしね」という敬子の一言で、諦めるしかなくなった。

家はごく普通の中流階級の家庭だったから。
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