上司に秘密を握られちゃいました。
「無理しなくていい。今日はやめよう」
彼は私の横に体を横たえると、首の下に手を差し入れ、抱き寄せてくれた。
「でも……」
「大丈夫。十分幸せだよ」
温かい肌が触れ合うだけで、こんなに幸せ。
だけど、彼の方は……きっと足りない。
それなのに……。
「ごめんな。怖かっただろう?」
私は首を振った。
謝らなければならないのは、私の方。
「ごめんなさい。私……」
「幸せだよ。藍華とこうして一緒にいられて、最高の気分だ」
私がなにか言う前に、彼が遮る。
公孝さんがそう言ってくれるなら……少しだけ甘えよう。
この歳で初めてなのは恥ずかしいくらいだけど、それでも初めてが公孝さんでよかった。
「明日、朝送るよ。今日はこのまま眠ろう」
「……はい」
彼のベッドはセミダブル。
ちょっと狭いけど、ふたりでも眠れる。
再び重なる唇が、ジンジンと熱い。
最後までできなかったけど……私にとっては大きな前進だった。