上司に秘密を握られちゃいました。

「おはよ」


部屋がうっすらと明るくなっているのに気がついて目を開けると、目の前で公孝さんが私を見つめていた。


「わっ、おはよう、ございます」


寝顔を見られてた?
恥ずかしくなって布団をかぶると、まだ裸なことに気が付く。


「あっ!」

「どうしたの? 『わっ』とか『あっ』とか……」


クスクス笑う彼は余裕の顔。

私……この人に昨日……。
そう考えて顔を赤らめていると、「服着て出ておいで?」と私を残して部屋を出て行った。


慌てて下着をつけてシャツを羽織る。
手で髪を整えて、キッチンに顔を出すと、コーヒーのいい香り。


「藍華も飲むだろ?」

「……はい」


スッと差し出されたコーヒーを受け取ると、少し触れた手にドキドキが止まらない。
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