上司に秘密を握られちゃいました。
「この制服を作りたいのかい?」
「……はい」
制服フェチがバレたと思って恥ずかしくなった私は、うつむいた。
「最近多いね。コスプレっていうの?」
失礼ながら、ちょっとばかり髪が後退し始めているおじさんから、『コスプレ』なんていう言葉を聞くのは違和感があった。
「アニメの誰とか、ゲームのあの人とか言って、皆写真持ってくるんだよ。高校の制服は初めてだけど」
コスプレ……なのか。
私が“コスプレ”という言葉から連想するのは、おじさんの言うように、アイドルやアニメのキャラクターを真似する人たちのことだった。
だけどよく考えると、憧れの対象が高校生なだけで、やっていることは変わらない。
「スカートの生地も探してる?」
カクカク頷くと、おじさんは親切にも似た生地をいくつも出してくれた。