上司に秘密を握られちゃいました。
心もカラダも
それから数日。
受付の人から、なにかされるということはなかった。
ただ、美晴の情報では、やっぱり私の良くない噂が流されているらしい。
だけど、ファッションショーの企画にかかりきりだった私は、バックヤードの手伝いに出ることもなく、直に耳にすることはなかった。
「西里さん、悪いんだけど……」
公孝さんが申し訳なさそうに私を呼ぶ。
「はい。なんでしょう?」
「ラッピング講習、してくれないか?」
「ラッピング講習というのは?」
なんだろう。
公孝さんのお母様が退職後にしていたという、あれのこと?
だけど、私にはそんなことできない。
まったくの独学だから、他人に教えるほどではない。
「うん。実はホワイトデーの企画で、デパート初出店の店と交渉が成立してね。
パティスリー ド ショコラティエという店なんだけど……」