上司に秘密を握られちゃいました。
「仕事を続けます」
腹が立ったのは否定しない。
だけど、意外に冷静だった。
「偉そうでしたらすみません。
ですが、これは仕事です。ひとつやってみますので、見ていてください」
ふたりは眉をひそめる。
こんなケンカに乗るつもりはない。
公孝さんが期待して任せてくれたのだから、仕事をまっとうするだけ。
「このリボンは、ここに指を入れ押さえておきます。
コツがいりますが、慣れれば簡単です」
自分でもこれほど冷静でいられることに驚いていた。
以前の私だったら、きっと彼女たちの言葉に傷つき、とてもラッビングどころではなかっただろう。
だけど、今は自信がある。
必死に勉強してきたラッピングの技術はもちろん、公孝さんの彼女、としても。