上司に秘密を握られちゃいました。
それでも、必要な材料は手に入った。

ずっしりと重い布の入った袋には、私の夢も詰まっている。
少々高い買い物にはなったけど、どうしてもあの制服が欲しい。


そして次の日、百円ショップでフエルトと刺繍糸を買った。
ジャケットの胸につけるエンブレムを作るために。

そもそも、私が制服を手作りしようと思ったのは、手芸が好きだから。
そうでなければ、こんな無謀な挑戦、絶対にしない。

ジャケットなんて、素人には難しすぎる。


フエルトに丁寧に刺繍したエンブレムは、一週間かかってようやく完成した。


「ちょっと、いい出来!」


完全な自己満足。
だけど遠目に見たら、杏林女子のエンブレムにちゃんと見える。


それから、宿題も忘れて制服作りに没頭した。
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