上司に秘密を握られちゃいました。

コーヒーでも淹れておこうと身じろぎすると、パッと腕をつかまれて驚いた。
起きたの?と思ったけれど、彼は目を閉じている。
そんな無意識の行動が、うれしかった。

ゆっくり彼の指を外すと、ベッドを出て服をまとう。
キッチンでコーヒーを淹れていると、彼が起きてきた。


「おはようございます」

「おはよ。寝すぎた……」

「大丈夫ですよ。まだ時間あります」


今日は十時までに出勤すればいいはず。
まだ七時半だから十分間に合う。


「そうだな。でもずっとこうしていたい気分だ」


私に歩み寄った彼は、ごく自然に抱き寄せる。
彼の肩に頭を預け、しばらく幸せを貪る。

十分に彼の温もりを満喫したあと離れると、すぐに優しいキスが降ってきた。


「体、平気?」

「……はい」
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