上司に秘密を握られちゃいました。

小さなわがまま

それからまたすれ違いの日が続いた。

彼よりずっと早く帰ることのできる私は、彼の部屋で食事でも作って待っていたかった。
だけど、彼は悪いと思ったのか、「いつ帰れるかわからないから」と遠回しに断ってくる。

最初はその気遣いがありがたかったけれど、ふたりで会えない日が続くと、どんどん寂しさが募ってきた。


それは、あれからも密かにされている意地悪な行為に、不安が募っていたのもあるかもしれない。
前を向こうと思っても、傷ついたことには変わりはない。


“仕事バカ”な公孝さんが好きだったのに、これほど放っておかれると辛い。
ちょっと抱きしめてもらえれば、きっと復活できるのに。


しかたなく家でラッピングの練習をしたり、新たな制服を作ってしまおうと目論んだものの、テンションが上がらず、取り掛かれなかった。
< 317 / 439 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop